東京メトロ東西線の駅をたどる:DisasterShield の災害スコア横断

東西線のうち東京の区部にある駅の座標を DisasterShield に入力し、地震・洪水・土砂災害・総合の各スコアを画面の表示どおりに記録した。

問い

東京メトロ東西線の駅を西から東へ順にたどると、DisasterShield が返す地震・洪水・土砂災害・総合のスコアはどう並ぶか。対象は、東西線の駅のうち東京の区部の内側にある 17 駅である。

方法

  • 製品と画面:DisasterShield の /try。緯度と経度の入力欄と「スコア取得」ボタンがあり、住所検索はない。
  • 入力:各駅の緯度・経度(小数5桁)。国土数値情報 鉄道データ(2025年度版)の駅の形状(線)の重心を、線分の長さで重み付けした中点の平均として計算し、丸めた。駅の出入口や駅舎の位置ではない。
  • 対象駅の決め方:同データで運営会社が「東京地下鉄」、路線名が「5号線東西線」の 23 駅のうち、区境界データ(dataofjapan/land 由来)の区部のポリゴンのいずれかに点が含まれる 17 駅を対象とした。残る 6 駅(浦安、南行徳、行徳、妙典、原木中山、西船橋)はポリゴンの外にあり、対象外とした。
  • 境界データの精度への対処:この区境界データの精度は確認していない。そこで、同じデータの上で各駅から区部の外周までの距離を計算し、境界に近い駅がないかを確かめた。500 m 未満だったのは浦安(469 m、外側、対象外)のみで、対象駅で最も近いのは西葛西の 1179 m だった。
  • 製品側の対象地域の判定:DisasterShield は、入力した点が国土数値情報 行政区域データ(N03-20250101)の特別区のいずれかと交差する場合にだけスコアを返す。同じ配布ファイルを使って同じ判定を手元で繰り返し、対象の 17 駅がすべて内側にあることを確認した。
  • 記録:駅ごとに一度スコアを取得し、4 枚のスコアカードと「スコア粒度(地震)」欄を表示どおりに記録した。
  • 測定日と本番リビジョン:2026-10-13。Cloud Run リビジョン disastershield-00028-vv5(コミット 50e60ea)。結果はこの時点の本番リビジョンの出力である。

スコアの決まり方は、上のコミットのコードを読んで確認した。

  • 地震:J-SHIS から取り込んだ値(製品はこれを震度として扱う)を、4.5 → 10、5.0 → 30、5.5 → 50、6.0 → 70、6.5 → 85、7.0 → 100 を結ぶ折れ線でスコアに写す。
  • 参照するセル:入力した点から 1500 m 以内で最も近い、取り込み済みのセルの値を使う。取り込み処理の記述によれば、取り込まれているのは 250 m のセルを 0.01 度の格子で抜き出したものである。
  • 洪水:点を含む洪水浸水想定区域のうち最も深い浸水深ランクを 25・50・70・85・95・100 のいずれかに写す。点を含む区域がなければ 5.0 を返す。
  • 土砂災害:点が警戒区域にあれば 65、特別警戒区域にあれば 90、どちらでもなければ 5.0 を返す。
  • 総合:0.5 × 地震 + 0.3 × 洪水 + 0.2 × 土砂災害。
  • 建物の属性は使わない:スコアの計算に渡るのは緯度と経度だけである。

結果

入力した座標(西から東の順)。

駅 緯度 経度
中野 35.70574 139.66560
落合 35.71063 139.68597
高田馬場 35.71328 139.70504
早稲田 35.70568 139.72219
神楽坂 35.70387 139.73452
飯田橋 35.70140 139.74652
九段下 35.69609 139.75127
竹橋 35.69044 139.75767
大手町 35.68470 139.76603
日本橋 35.68238 139.77410
茅場町 35.68035 139.77927
門前仲町 35.67189 139.79610
木場 35.66936 139.80712
東陽町 35.66959 139.81768
南砂町 35.66841 139.83169
西葛西 35.66456 139.85960
葛西 35.66362 139.87253

スコアカードの表示(各 100 点満点)。

駅 地震 洪水 土砂災害 総合
中野 73.0 5.0 5.0 39.0
落合 73.0 25.0 5.0 45.0
高田馬場 70.0 25.0 5.0 43.5
早稲田 70.0 25.0 5.0 43.5
神楽坂 70.0 5.0 5.0 37.5
飯田橋 76.0 50.0 5.0 54.0
九段下 76.0 25.0 5.0 46.5
竹橋 76.0 25.0 5.0 46.5
大手町 73.0 50.0 5.0 52.5
日本橋 73.0 25.0 5.0 45.0
茅場町 73.0 50.0 5.0 52.5
門前仲町 79.0 50.0 5.0 55.5
木場 79.0 50.0 5.0 55.5
東陽町 82.0 70.0 5.0 63.0
南砂町 82.0 50.0 5.0 57.0
西葛西 85.0 50.0 5.0 58.5
葛西 88.0 50.0 5.0 60.0

「スコア粒度(地震)」欄の表示。

駅 「スコア粒度(地震)」欄の表示
中野 73(震度6強帯・1kmメッシュ・475年再現期間)
落合 73(震度6強帯・1kmメッシュ・475年再現期間)
高田馬場 70(震度6強帯・1kmメッシュ・475年再現期間)
早稲田 70(震度6強帯・1kmメッシュ・475年再現期間)
神楽坂 70(震度6強帯・1kmメッシュ・475年再現期間)
飯田橋 76(震度6強帯・1kmメッシュ・475年再現期間)
九段下 76(震度6強帯・1kmメッシュ・475年再現期間)
竹橋 76(震度6強帯・1kmメッシュ・475年再現期間)
大手町 73(震度6強帯・1kmメッシュ・475年再現期間)
日本橋 73(震度6強帯・1kmメッシュ・475年再現期間)
茅場町 73(震度6強帯・1kmメッシュ・475年再現期間)
門前仲町 79(震度6強帯・1kmメッシュ・475年再現期間)
木場 79(震度6強帯・1kmメッシュ・475年再現期間)
東陽町 82(震度6強帯・1kmメッシュ・475年再現期間)
南砂町 82(震度6強帯・1kmメッシュ・475年再現期間)
西葛西 85(震度7帯・1kmメッシュ・475年再現期間)
葛西 88(震度7帯・1kmメッシュ・475年再現期間)

同じ欄の、スコアの下に表示される行は 1 通りだった。

表示された行 駅の数
J-SHIS Y2024/MAX/TTL_MTTL (jshis-api-y2024-sampling1km) — メッシュ単位のハザード参照値であり、同一メッシュ内の住所は 同一スコアになります。 17

読み方

  • 地震:70.0(高田馬場、早稲田、神楽坂)から 88.0(葛西)までで、値は 7 通りだった。門前仲町から東の 6 駅はいずれも 79.0 以上、それより西の 11 駅はいずれも 76.0 以下だった。
  • 震度の区分の表示:「スコア粒度(地震)」欄では、「震度6強帯」が 15 駅、「震度7帯」が 2 駅(西葛西、葛西)だった。
  • 洪水:5.0、25.0、50.0、70.0 の 4 通りだった。5.0(点を含む浸水想定区域がない場合に返る値)は 2 駅(中野、神楽坂)、最大の 70.0 は東陽町だった。
  • 土砂災害:17 駅すべてで 5.0 だった。これは、点が警戒区域にも特別警戒区域にも含まれない場合に返る値である。
  • 総合:37.5(神楽坂)から 63.0(東陽町)までだった。
  • 「スコア粒度(地震)」欄には、スコアの下に出典の行と「メッシュ単位のハザード参照値であり、同一メッシュ内の住所は 同一スコアになります。」という注記が表示される。画面の上部には「Beta build 50e60ea」と表示されていた。
  • 上の数値はこの 17 点についての記録であり、路線の沿線全体や各区について一般化するものではない。
  • スコアは緯度と経度だけで決まるため、同じ点であれば建物の構造や築年を変えても変わらない。

限界

  • 駅の点は駅形状の重心であり、利用者が思い浮かべる駅の位置とずれることがある。
  • 対象駅の判定は、精度を確認していない区境界データによる。境界に近い駅では判定がデータに依存する(製品が使う行政区域データでも同じ駅が内側だった。今回 500 m 未満だったのは対象外の浦安のみ)。
  • 洪水と土砂災害のスコアは、区域のポリゴンに点が含まれるかどうかで決まる。国土数値情報の洪水浸水想定区域データのページは、河川事務所や都道府県が公開する洪水浸水想定や、市区町村が配布するハザードマップと、浸水範囲や浸水深ランクが異なる場合があるとしている。
  • 洪水と土砂災害の 5.0 は、製品が取り込んだ区域データの中に、入力した点を含むポリゴンが一つもないときに返る値である。 その地点に洪水や土砂災害の危険がないことを示す値ではない。
  • 「スコア粒度(地震)」欄は、たとえば中野の点で「73(震度6強帯・1kmメッシュ・475年再現期間)」と表示し、その下の注記は「メッシュ単位のハザード参照値であり、同一メッシュ内の住所は 同一スコアになります。」としている。一方、上のコミットのコードが使うのは、入力した点から 1500 m 以内で最も近い取り込み済みのセルであり、取り込まれているのは 250 m のセルを 0.01 度の格子で抜き出したものである。画面に出るメッシュの大きさは、コード中の定数である。 本ノートは画面の表示をそのまま記録しており、メッシュについての画面の説明には依拠していない。
  • 国土数値情報の土砂災害警戒区域データ(2021年度版)の東京都分には、次の条件が付されている。「提供しているデータは、令和3年9月15日現在のもので、これ以降に区域変更等行っている場合があります。なお、実際に告示している区域については、公表している公示図書にてご確認ください。」
  • スコアは製品が独自に定めた写像の結果であり、個別の建物や敷地の安全性の判定ではない。

再現手順

  • DisasterShield にサインインし、/try を開く。
  • 上の表の緯度と経度を入力し、「スコア取得」を押す。
  • 表示された 4 枚のカードと「スコア粒度(地震)」欄を読む。
  • 次の駅に進む。今回は連続する取得のあいだに間隔を空けた。

データの帰属表記

  • 地震:J-SHIS 地震ハザードステーション(国立研究開発法人防災科学技術研究所、https://www.j-shis.bosai.go.jp/)の地震動予測地図データを DisasterShield が取り込み、加工した結果を掲載している。出典元は J-SHIS である。
  • 洪水・土砂災害:出典:国土交通省国土数値情報ダウンロードサイト(洪水浸水想定区域データ、土砂災害警戒区域データ)。「国土数値情報(洪水浸水想定区域データ、土砂災害警戒区域データ)」(国土交通省)を DisasterShield が加工して作成したスコアを掲載している。
  • 駅の座標:出典:国土交通省国土数値情報ダウンロードサイト(鉄道データ)。「国土数値情報(鉄道データ)」(国土交通省)を加工して作成(駅形状の重心の計算と丸めは DXA Labs による)。
  • 行政区域:出典:国土交通省国土数値情報ダウンロードサイト(行政区域データ)。「国土数値情報(行政区域データ)」(国土交通省)を加工して作成(対象駅が製品の対象地域の内側にあることの確認に使用)。
  • 区境界:dataofjapan/land が配布する東京の区境界データを、対象駅の判定にのみ使用した。出典元は地球地図日本(国土地理院)である。
  • スコアは DisasterShield が上記のデータを加工した結果であり、各データの提供者が作成・保証したものではない。
  • DXA Labs が各製品で使うデータの出所はデータの出所と測定に、DisasterShield の使い方はDisasterShield の使い方にまとめている。

出典

  1. J-SHIS 利用規約(国立研究開発法人防災科学技術研究所) (参照日 2026.10.11)
  2. 国土数値情報ダウンロードサイト 利用規約(国土交通省) (参照日 2026.10.11)
  3. 公共データ利用規約(第1.0版)(デジタル庁) (参照日 2026.10.11)
  4. 国土数値情報 鉄道データ(国土交通省) (参照日 2026.10.11)
  5. 国土数値情報 洪水浸水想定区域データ(国土交通省) (参照日 2026.10.11)
  6. 国土数値情報 土砂災害警戒区域データ(国土交通省) (参照日 2026.10.11)
  7. 国土数値情報 行政区域データ(国土交通省) (参照日 2026.10.13)
  8. dataofjapan/land(区境界データの配布元、出典元は地球地図日本) (参照日 2026.10.11)
  9. 地球地図日本(国土地理院) (参照日 2026.10.11)
  10. DisasterShield の使い方(DXA Labs) (参照日 2026.10.11)
  11. データの出所と測定(DXA Labs) (参照日 2026.10.11)